2014/08/25

忍び寄る肺炎にご注意/子どもに多い肺炎

子どもの肺炎では「細菌肺炎」のほか、「マイコプラズマ肺炎」が多く見られます。今回は、細菌肺炎とは治療薬の異なるマイコプラズマ肺炎の特徴や、治療を受けるうえでの注意点を解説します。
■子どもの肺炎の特徴

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 肺炎は、原因となる病原体によって、いくつかの種類に分けられます。子どもには、「細菌肺炎」のほか、特殊な細菌であるマイコプラズマが原因の「マイコプラズマ肺炎」が多く見られます。マイコプラズマは、一般の細菌とは違う特徴を備えているため、細菌肺炎に対して使われる抗菌薬の一部では効果がありません。
 子どもの肺炎が最近、「治りにくい」と言われていますが、その理由として、耐性菌が増えてきたことや、マイコプラズマ肺炎の場合に、適切な抗菌薬が処方されていないことなどが考えられます。



■細菌肺炎とマイコプラズマ肺炎の違い

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 細菌肺炎の病原体は、多くの子どもののどなどに住み着いている細菌で、かぜをひいて気管支の粘膜が荒れたときなどに、それらが肺に入り込んで肺炎を起こします。一方、マイコプラズマは、ほかの患者さんから感染したり、空気中から肺に入って、肺炎を起こします。
 細菌肺炎とマイコプラズマ肺炎では、炎症の起きる場所で、症状にも違いがみられます。マイコプラズマ肺炎の場合、小学生くらいになると、発熱がない場合もありますが、1週間以上せきが続く場合には、マイコプラズマ肺炎を疑って受診してください。



■治療

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 細菌肺炎には「ペニシリン系」や「セフェム系」の抗菌薬、マイコプラズマ肺炎には「マクロライド系」の抗菌薬が有効です。
 細菌肺炎とマイコプラズマ肺炎の合併が疑われるときは、ペニシリン系、セフェム系と、マクロライド系の抗菌薬が併用されます。ただし、マイコプラズマ肺炎の合併が見落とされ、マクロライド系の抗菌薬が処方されないと、マイコプラズマ肺炎によるせきや熱の症状がなかなか治まりません。抗菌薬を1週間服用しても、せきが続いたり、熱が下がらないなどの場合は、再受診して、担当医に相談してください。
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2014/08/20

忍び寄る肺炎にご注意/かぜとの違い

かぜをひきやすい季節がやってきます。「かぜがなかなか治らないと思っていたら、肺炎だった」ということも少なくありません。日常の注意で、かぜを予防すると同時に、どんなときに肺炎が疑われるのかなども知っておきましょう。





■かぜと肺炎の違い

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 空気の通り道(気道)のうち、鼻やのどなどの粘膜に病原体が感染し、炎症が起きた状態が「かぜ」です。炎症が広がり、喉頭炎や気管支炎を引き起こすこともありますが、ほとんどの場合、数日で治ります。
 一方、「肺炎」は、「肺胞」やその周囲に病原体が感染し、炎症が起きた状態をいいます。肺炎にかかっても、適切な治療を受ければ、1週間くらいで治りますが、対応が遅れ、広い範囲に炎症が及ぶと、命にかかわることもあります。
 肺炎の起こり方としては、主に「かぜに続く二次感染」「かぜとは関係のない一次感染」「誤嚥による感染」の3つに分けられます。ここでは、「かぜに続く二次感染」による肺炎について説明します。





■二次感染の起こり方

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 通常、侵入した細菌などは、気管支粘膜の線毛などの働きによって排除されます。ところが、かぜのウイルスなどが感染すると、粘膜の表面の細胞が破壊されて、細胞や線毛がはがれ落ちてしまいます。すると、侵入した細菌などを排除することができなくなり、増殖した細菌が容易に肺の奥に入って、肺炎が起こります。




■症状

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 肺炎の症状は、かぜとよく似ていますが、成人なら内科か呼吸器内科、子どもなら小児科を受診てください。さらに、肺炎が進行すると、すぐに受診してください。





■治療

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 肺炎と診断された場合は、「抗菌薬」などによる治療が行われます。抗菌薬は、のみ忘れると効果が期待できませんから、処方どおりにきちんと服用することが大切です。
 肺の炎症が軽い場合は、家庭で薬を服用して治療しますが、「2週間ほど薬を服用しても改善しない」「肺の炎症が広がっている」「脱水症状を起こしている」などの場合は、入院による治療が必要です。

2014/08/19

あなたの肺 大丈夫ですか? / COPD症状をやわらげるには?

従来、肺気しゅ、慢性気管支炎などと呼ばれていた病気を、今は「COPD(慢性閉そく性肺疾患)」と呼びます。現在、世界中に約6億人。日本国内においても、約530万人の患者がいると言われています。




question

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3時間くらい起きていると胸が苦しくなり、肺気しゅと診断されました。薬は出ていないのですが、たばこをやめるように言われています。他によい治療法はありますか?

(60代 女性)




answer

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残っている肺機能を十分に活用するための、呼吸リハビリテーションが有効です。



■COPDの治療法

 COPDによって一度壊れた肺胞や気管支を、元に戻すことはできません。したがって、COPDの治療は、あくまでもその症状を軽減する、進行を抑えることが重要となり、残っている肺の機能を十分に活用することが目的となります。
 治療法として、軽度から重度までのすべての段階において、何よりも重要なのは「禁煙」です。次に、気管支を広げる薬で、呼吸を楽にする「薬物療法」。また、残っている肺の機能を十分に活用する呼吸法としての、「呼吸リハビリテーション」。さらに進行してしまった場合には酸素を吸入する「酸素療法」や、拡張した肺を取る「手術」などが行われます。



■禁煙のすすめ

 たばこの中には約4,000種類の化学物質が含まれており、その中の約200種類は有害物質だと言われています。COPDの進行に悪い影響を及ぼすので、禁煙が治療の第一歩です。
 図2では、横軸に年齢、縦軸に肺機能を示しています。非喫煙者は肺機能の低下が緩やかなのに対して、喫煙者は急激に低下していきます。喫煙者が禁煙を始めた場合、その後は非喫煙者と同程度の緩やかな傾斜に戻るので、どの年齢からでも禁煙は肺機能によってよい効果をもたらします。



■呼吸リハビリテーション

 薬物療法と並んで行われる治療法に「呼吸リハビリテーション」があります。COPDにより壊れてしまった肺胞や気管支の細胞を元に戻すことはできない代わりに、残っている肺機能を上手に使おうという呼吸法です。
 
<リラクゼーション>
COPD患者は肺が大きくなっているため、肩や背中の筋肉が緊張しています。その筋肉の緊張をほぐすために、リラックスをします。
 ・肩を大きく高く上げます。
 ・ゆっくりとおろします。
 
<腹式呼吸>
横隔膜を使う呼吸法です。女性は普段、胸式呼吸をしているのですが、COPD患者は特に腹式呼吸を行うことが大切です。
 ・右手を胸に、左手をお腹の上に当てます。
 ・鼻から息を吸います。その時、お腹を突き出すようにして息を吸ってください。
 ・吐く時には、お腹を引っ込ませます。
 
<口すぼめ呼吸>
狭くなった気管支を広げ、呼吸を楽にするための治療法です。
 ・腹式呼吸と合わせて行います。
 ・息を吐く時、口笛を吹くように口を丸めてゆっくりと、音を出すように吐きます。



■肺の中の空気を外に出すように

 呼吸の筋肉を使わないと筋力が落ちてきてしまい、やがて呼吸が困難になってしまいます。これを防ぐために、普段から運動をすることもCOPDの治療法としてとても重要です。日常生活の中でも、肺の中の空気を外に出すよう心がけて呼吸をしてください。
 重いものを持つときは、ゆっくり息を吐きながら。歩くときは、「吸吸吐吐吐吐」というリズムで、階段を上るときは、立ち止まって「吸吸」、上るときに「吐吐吐吐」です。息を吐くことを意識してください。

2014/08/12

がん早期発見・これだけは知っておきたい/“肺がん”が気になる方へ

■胸部エックス線検査と喀痰(かくたん)細胞診

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 肺がんは、がんが発生した部位によって「中心型肺がん」と「末梢型肺がん」に分けられます。肺の入り口付近にできる中心型肺がんは、「せき、痰、血痰」などの症状が早い時期から現れるのですが、肺の奥にできる末梢型肺がんは、早期の段階ではほとんど症状はありません。そのため、症状の有無にかかわらず、定期的に肺がん検診を受けることが重要です。
 肺がん検診では、一般に「胸部エックス線検査」と「喀痰(かくたん)細胞診」の2つの検査が行われます。胸部エックス線検査は、末梢型肺がんの発見に効果的ですが、心臓や背骨などに隠れてしまう中心型肺がんの早期発見には不向きです。一方、喀痰細胞診は、たんのでやすい中心型肺がんの発見には効果的ですが、末梢型肺がんの診断には向きません。こうしたことから、両方の検査を受けると、それぞれの検査の弱点が互いに補完されて、肺がんの早期発見につながると考えられます。



■初期の発見を可能にする“らせんCT”

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 最近、「CT(コンピュータ断層撮影)検査」を応用した「らせんCT」という検査方法が行なわれるようになっています。エックス線を照射する「管球」をらせん状に回転させることで、肺を輪切りにした画像を連続して撮影するものです。これにより、胸部エックス線検査では診断できない小さながんや、心臓や血管に隠れてしまう位置のがんも発見できるようになりました。また、最近では、さらに進化した「マルチスライスCT」が開発され、より精度の高い画像を、より速く撮影できようになっています。
 肺がんのリスクが高い人は、こうした検査を定期的に受け、早期発見に努めることが大切です。
2014/08/11

ご注意! かぜと間違いやすい病気 若者に多い肺炎

■かぜと何が違うのか

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 かぜは、鼻やのどなどの上気道や気管支に炎症が起こります。これに対して、肺炎は、肺の中の「肺胞」などに炎症が起こります。肺炎でもかぜと同じような症状がみられますが、肺炎の場合は、症状がなかなか改善せず、特にせきがひどくなっていくのが特徴です。
 肺炎をかぜと間違えて、治療が遅れたり、適切な抗菌薬が使われないと、重症化したり、合併症を起こすこともあります。かぜの症状が、3〜4日しても改善しない場合は、肺炎を疑って、必ず受診するようにしましょう。



■マイコプラズマ肺炎の症状と特徴

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 肺炎のなかでも、若い人に多くみられるのが、「マイコプラズマ」という微生物が原因で起きる「マイコプラズマ肺炎」です。
 マイコプラズマ肺炎は、主に飛沫感染や接触感染でうつります。最初はかぜのような症状ですが、そのうちに、「高熱」「頑固なせき」「頭痛」などの症状が現れます。適切な治療を受けないと、まれに、「髄膜炎、心筋炎、歩行障害、肝臓障害、貧血、発疹」などの合併症が起きることがあるので、注意が必要です。



■早く治すためのポイント

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 「3,4日しても熱が続く」などのような症状がみられる場合は、医療機関を受診しましょう。マイコプラズマ肺炎を見逃さないためには、患者さん自身が、病気の経過や症状をしっかりと医師に伝えることが大切です。
 治療は、抗菌薬による薬物療法が中心となります。一般的な肺炎の薬では効果がないので、マイコプラズマ肺炎に有効な「マクロライド系、テトラサイクリン系、ニューキノロン系」の抗菌薬で治療することが大切です。そのほか、せき止めの薬など、症状を軽減させる薬も使われます。家庭のケアでは、「安静」「水分・栄養の管理」に気をつけましょう。