2018/02/04

唇の赤

ちよっと意外だが、唇を、もつのは動物の中で、も浦乳類だけだ、という。いわれてみればそうか。浦乳類以外の脊椎動物には、唇はもとより頬もなく、食べ物は基本的に丸飲みだ。
哨乳類といえばおっぱい。要はおっぱいを吸うために、筋肉が発達し、すぼめられる形状になっている、ということだ。その中でも、赤い唇をもつのは人間だけなのだそうだ。


唇の赤は、じつは血液の色。
唇は皮層ではなくて、口の中の粘膜がめくれて外に露出したものなのだ、という。皮層ではないので表面の皮が非常に薄く、色素がない。そのために、血管が透けて赤く見えるのだ。下まぶたの裏側が赤いのと同じことだ。たしかに、赤、といっても厳密には赤黒いことが多い。


唇の色は健康状態を映しやすい。たとえば、プールに長時間入っていて唇が紫色になることがある。これは、寒さで唇の血管が収縮して血液中の酸素が不足するため。チアノーゼという状態になっており、より深いところにある静脈が透けて見えているのだという。
また常に唇の色が悪い人は、貧血、血行不良、冷え性などの症状があることが多い。血液の異常を確認しやすいので、赤ちゃんの健康状態を判断するときにも、唇の色を見ることが多いようだ。


粘膜というだけあって、ほかの皮層より敏感なのも大きな特徴。指先よりもずっと感覚受容器が多い場所なのである。唇に多くの感覚受容器が集まっているのは、そこが消化器官の入口だから。熱い飲み物や異物を、体内に入る前に感知してシャットアウトするためには、鋭い感覚を備えている必要があるのだ。赤ちゃんはなんでも口に運ぶ習性があるが、そうすることでモノの形や大きさを確認しているといわれる。


また、冬になると肌よりも先にまず唇が荒れたり、切れたりする。唇には汗腺や皮脂腺がない。そのため、外的な刺激を受けやすいのだ。唇の荒れは、乾燥はもちろん、風邪やビタミン&不足などによっても起こる。唇の端が切れるのは、胃の機能が低下している証拠だといわれる。疲れやストレスがたまっているときは、唇の周りに口唇へルペスなどの
粘膜性疾患も起こりやすい。
唇の色が悪いからといってせっせと口紅を塗りたくる女性がいるが、口紅の発色にはもとの唇の色も影響する。唇の色素が濃い人などの場合、そのままでは見本どおりの色が出ないので、コンシーラーなどで地色を抑えてから口紅を乗せるとよいという。
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2018/01/23

爪が変色して黒ずんでしまうことがある

最初にお断りしておくが、痛いのが苦手な方にはやや刺激の強い話。
 

ドアの隙間に指を挟んだときや、重いものを足の上に落としてしまったとき、爪が変色して黒ずんでしまうことがある。窮屈な靴で長時間歩いたり、マラソンやバレエをしていてなることもある。サッカーやバスケットボールなどのコンタクトスポーツでは、試合中に相手に足を踏まれてこうなることも多いという。
 

これが痛いのなんの、おまけに気持ち悪い。変わりはてた爪のおぞましい有様を目の当たりにすると、余計に痛みも増すし、この下でいったいなにが起こっているんだろう……という不安に襲われる。
 

爪が黒くなるのは、爪の下で内出血が起こるため。専門的には、爪下出血、爪下血腫などと呼ばれる症状だ。爪の下に血液がたまってくると、ぶつけた痛みとは別に、血液の圧力による痛みが生じる。こうなるとその指にうまく力が入らないので、

手ならばものがつかみにくかったり、足ならばうまく歩けなかったりする。 痛みがひどいときは、医療機関を受診したほうがいい。爪に小さな穴を開けて、たまった血液を外に出す処置をおこなうことがあるようだ。また、骨折や細菌感染など、ほかの症状が起きている恐れもある。
 

たまった血液がそのまま固まると、爪が浮き上がってパカパカしてくる。これが俗にいう、「爪が死んだ」状態。黒ずんだままでもとの色には戻らないし、それっきり伸びる気配もないために、爪が機能していないⅡ爪が死んだ、といういい方が定着したのだろう。
 

でもやがて、爪の付け根が盛り上がったような感じになって、浮いた爪の下から新しい爪が生えてくる。数日で生え始めることもあるし、数か月もその気配がないこともある。
古い爪は新しい爪に下から押されるようにして、自然にぼろつととれることもあるし、半
分くっついたような状態がつづくこともある。
 

古い爪が残っているときは、間違っても無理に抜いたりしないこと。痛いだけではなく、露出した皮層に傷がついたりパイ菌が入ったりして、せっかく生えてきた新しい爪が、うまく伸びなくなる恐れもあるという。浮いてはがれてきた部分は、どこかへ引っかけてしまわないように、少しずつ切るとよい。
 
見栄えが悪いので早くなくなってほしいと思うけれど、新しい爪が完全に生えそろうまでには早くても半年から一年くらいはかかるというから、気長に待とう。

https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/division/nursing/division/support_card/all.pdf
2018/01/11

おしっこをすると身震いする

一つ目は、勝耽にオシッコがたまっていることで緊張していた筋肉が、放尿によって緊張から解放されたからというもの。しかし、これなら女性にも当てはまることで、男性だけが身震いすることの説明にはならない。

二つ目は、オシッコという温かいものが身体の中にあったのに、それが一気に体外に排出されたために身体の熱が奪われる。そのため、筋肉を小刻みに動かして熱を発生させ、身体を温めようとするのだというもの。

これも一つ目の説と同様、女性にも当てはまることだ。
三つ目は、血圧の影響だというもの。『ウンチとオシッコの100不思議」(東京書籍、左巻健男監修、山本文彦・貝沼関志編著)には、次のように書かれている。
「大量のオシッコが出て勝耽が縮むと、その分だけおなかの中の圧力が急に下がるので、それを補うために全身から血液が腹部に送り込まれます。その影響で血圧が下がり、脳に送られる血液量が減ります。立小便をしている男性では、この影響が大きく出て顔色まで蒼ざめてきます。この非常事態に対して、自律神経の中の交感神経が、反射的に血圧と体温を回復させるようにはたらきます。交感神経は血管を収縮させて血圧を上げようとします。さらに筋肉を緊張させ、ブルブルと震えさせて、その運動の熱量で体温を上げようとします」

この本によれば、女性が身震いを起こさないのは、座っているのでオシッコをしたあとの血圧低下が小さいこと、出産のための機能としておなかの中の圧力が急に下がってもその影響が小さいように身体がつくられているといったことが理由だという。
この説にはなかなか説得力がある。身震いが男性にのみ起こるのも、男性は立小便をするので脳が高い位置にあり、脳の血液量低下が大きいからだと説明できる。
いずれにせよ、本当の理由がなんであれ、男がオシッコのあとに身震いすることにかわりはない。それがイヤな人がいたら、座ってオシッコをするようにしよう。
2017/12/24

我慢したオナラ

周りに誰もいない場所ならともかく、人前でオナラをするのはやっぱり恥ずかしい。うら若き乙女であれば死にたくなるかもしれない。そこで、多くの人が、オナラをしたくなってもぐっとこらえることになる。しばらく我慢していると、あら不思議、いつの間にかオナラをしたいという感覚が消えているではないか。
 
あ-よかった。ピンチを脱することができて一安心。でも、ちょっと待った。あのオナラはいったいどこへ行ってしまったんだろう?
 

外へ出るはずのものが出なかったのだから、まだ中にいるに違いない。シャーロック・ホームズならずともここまでは推理できよう。しかし、身体の中のいったいどこへ?
 オナラの成分の約七○%は空気、約二○%が血液から腸内に出てきたガス、約一○%が腸内の食べ物が発酵してできたガスだという。
 虹門から外へ出られなかったオナラは、来た道を逆に戻って大腸に入る。ここで、粘膜を通っている毛細血管から吸収される。オナラの量が多ければ、大腸では吸収しきれず、小腸にまで戻ることがある。ここでも同様に毛細血管から吸収される。
 

ということは、血液の中に溶け込んでオナラが身体中を回るということになる。そして、一部は腎臓で処理されてオシッコになるが、大部分は肺の毛細血管に運ばれ、息といっしょに口や鼻から排出されることになる。いってみれば、口からオナラをするようなものだ。


 
じつはこれ、我慢したオナラにかぎらない。腸内で発生したガスは常にその一部が血液に吸収され、肺まで運ばれて息といっしょに口や鼻から排出されているのだ。
 
人前であろうとなかろうと絶対にオナラなんかしないという人もいるかもしれないが、
そんな人でもじつは口からオナラをしているのだ。どんなに可憐な乙女でも、人間である以上一日に四○○~一二○○ミリリットルのガスを体内で発生させている。それが身体から出ていかなければたいへんなことになってしまう。
オナラを我慢して腸内にガスがたまれば、圧力が高まり、腹痛を引き起こすことがある。

ときには胆のうや輝臓をも圧迫し、激痛を招くことも。さらに、我慢することで、人前でオナラが出てしまうのではないかという恐れを抱くようになり、それがストレスとなってさらに腸内でガスが発生しやすくなってしまうという悪循環に陥ることもある。
 我慢したところで結局は出るものなのだから、オナラがしたくなったら早めにトイレや人のいない場所に移動して放出するのが健康のためには一番いい。
2017/11/28

悔し涙は苦い?


人が涙を流すのは悲しいときばかりではない。嬉しいとき、怒ったとき、悔しいとき、たまねぎを切ったとき、煙が目にしみたときなど、さまざまな場面で人は涙を流す。
上まぶたの裏側にある涙腺からは絶えず涙が分泌されている。涙に含まれる脂質が涙の蒸発を抑え、目の潤いを保っている。涙が角膜表面をおおうことにより、「角膜の光学的な機能を維持する」「異物を洗い流す」「角膜に栄養素や酸素を供給する」「抗菌作用をもたらす」などの役割をはたしている。通常、一日に分泌される涙の量は一一~三ミリリットル。年をとると分泌される涙の量は少なくなる。なお、涙腺から涙が分泌されるようになるのは生まれてから数日後なので、生まれたばかりの赤ちゃんは、泣き声を上げても涙は出さない。


涙の九八%は水分で、残りの二%がナトリウム、カリウムなどの塩類、そして、アブミン、リゾチーム、グロブリンなどのたんぱく質、脂質などだ。
塩化ナトリウムなどの塩類が入っているせいで、涙は少ししょっぱいのだが、じつはいつも同じ味ではないのだという。
たまねぎを切ったとき、煙が目にしみたときに涙が出るのは、目に侵入してきた異物を排除しようとする涙腺の反応である。それ以外は、感情の高ぶりから起こる涙だが、これには自律神経がかかわっている。

自律神経が興奮すると、涙腺が刺激されて涙が出ることになる。自律神経には交感神経と副交感神経との二種類があり、この二つの神経は相反する働きをもっている。
交感神経は、身体を活発に活動させるように働く。たとえば「心臓の拍動を速め、血管を収縮して血圧を上昇させる」「胃腸の活動を抑制する」など。これに対し、副交感神経は、身体をリラックスざせエネルギーを蓄えるように働く。たとえば「心臓の拍動を遅くし、血管を拡張して血圧を下げる」「胃腸の活動を促進する」などだ。

交感神経と副交感神経という二つの自律神経がバランスよく働くことによって、身体は正常に機能し、健康が保たれている。嬉しいとき、怒ったとき、悔しいときなどは、交感神経が興奮し、悲しいときや芸術作品に感動したときなどには副交感神経が興奮する。
交感神経の興奮による涙は、量が少なく、塩化ナトリウムがやや多いため塩辛い。一方、副交感神経の興奮による涙は、量が多く、粘液成分や油脂成分が少なく、味は薄い。
悔し涙は本当に「苦い涙」でもあるわけだ。