2013/10/11

ホスピスについて

■ホスピスとは?

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「ホスピス」は、主に「治癒が難しいがん」にかかっている患者さん自身が、できる限り納得し、主体的な人生を送ることができるよう、総合的にサポートする療養施設です(図1)。手術や抗がん剤の使用など、がんに対する直接的な治療は行われませんが、患者さんが苦痛と感じる症状などに対しては、症状を軽くするための治療が行われます。ホスピスでは、こうした病気に伴う身体的な痛みのケアから、精神的な苦痛に対するケアまで、医師や看護婦をはじめとするさまざまなスタッフが、患者さんとその家族をサポートします。
 厚生労働省が、「主として末期の悪性腫瘍」などの患者さんとその家族の心身のケアを行う「緩和ケア病棟」として認可している施設は、全国に約80か所あり(2000年10月現在)、少しずつですが、確実に増えつつあります。
 ホスピスに入院するのに、がんの告知を受けていることを条件に挙げているところもありますが、これは施設によって異なります。「寝たきりにならないと、ホスピスに入れない」という条件はありません。退院については、「症状が軽くなる」「痛みのコントロールなど、医療・看護の体制が整っている」「家族に支える力がある」「療養に必要な住まいの介護条件が整っている」など、退院の条件がそろえば、可能になることもあります。医療費に関しては、基本的には、一般病棟に入院する場合と同じです。(図2)。 図1 ホスピスとは
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図1 ホスピスとは
図2 ホスピスの費用
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図2 ホスピスの費用

■痛みの治療について

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患者さんにとって最も苦痛とされる症状は、「痛み」です。痛みは、それ自体が苦痛なので、痛みから解放されないと、結果的に体が衰弱してしまいます。ですから、ホスピスでは、痛みを緩和する治療が、最も重要になります。治療によって、痛みをどの程度まで和らげるかは、患者さんと相談しながら決めます。
 痛みに対する治療は、WHO(世界保健機関)が1986年に定めた「WHO方式がん疼痛治療法(図3)」に準拠して行われるのが普通です。これは、痛みの程度を3段階に分けて、効果の異なる鎮痛薬を使い分けるものです。埼玉県立がんセンターの調査によれば、この治療法で「疼痛消失が86%」「疼痛ほぼ消失が11%」と、痛みを訴えていたがんの患者さんの97%が、「痛みがかなりなくなった」と答えています。
 2000年6月には、日本緩和治療学会がWHO方式をもとに、新しく「がん疼痛治療ガイドライン」をまとめました。今後は、このガイドラインが我が国の標準的な疼痛治療の指針となると考えられています。
 なお、強い痛みを和らげる場合に、通常使用される「モルヒネ」については、「麻薬なので中毒になる」といった誤解があるようですが、痛みを取るために必要な量のモルヒネを適切に用いれば、中毒になることはまずありません。吐き気や嘔吐、便秘などの副作用を伴うこともありますが、副作用対策を適切に行えば、多くの場合、モルヒネは継続して使用することができます。 図3 WHO方式がん疼痛治療法
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図3 WHO方式がん疼痛治療法 鎮痛剤の3段階
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図3 WHO方式がん疼痛治療法

■精神的苦痛のケアについて

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がんによる身体的な痛みは、鎮痛薬でコントロールできるため、患者さんは比較的穏やかな日々を過ごせますが、時には、生きる意味を見失ってしまうこともあるかもしれません。そのようなとき、ホスピスのスタッフは、患者さんの「心の痛み」が緩和されるよう、患者さんや家族の人たちの話に耳を傾け、できる限り患者さんの気持に寄り添ってケアをします。「身体的ケアと精神的ケア」の両面のサポートこそが、ホスピスの本質ともいえます。
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