2016/02/04

実行機能の障害

 最近、「実行機能の障害」という言葉が認知症の定義のなかで使われるようになった。実行機能とは、計画を立てる、組織化する、順序立てる、抽象化すること、と注釈されている。ポールさんが、「順序立ててものごとを進めるために一日の計画を立て、箇条書きにして、毎朝、それを彼女に渡す。自分がやらねばならないことを忘れたときには、その都度、そのスケジュール表を指して、彼女に示す」とおっしゃっていたが、まさにそのようなことである。
 クリスティーンさんは「日常生活の仕事は、巨大で圧倒するような存在になってしまい、日常生活に一連のつながりがあるという感覚は失われた。人生は断片化した問題がちりばめられた万華鏡のようになった」と述べておられるが、これは実行機能障害の一面を語っているのであろう。



 前著では料理を例にとって説明した。ある料理、つまりは最終目標を目指して作業を始めるのだが、そのためには、そこに至るための計画を大まかであっても前もって立てておかねばならない。その計画を覚えておいて(展望記憶とよばれる)、作業を続け、節目節目でフィードバックをかけながら、つまり、現在の作業は確かに最終目標に向かって成功裏に進んでいることを見定めながら、ずれているようなら調整して、手順を進めていくことが必要なのである。
 これが彼らには難しい。一つひとつの作業なら見事にやってのける。お好み焼きをつくろう、ということになってキャベツを刻んでいただいたら、かなり重度の認知症の方でさえ見事な包丁さばきだった。しかし、はじめから料理を任せると、うまくいかないのである。ときには、まったく食することができないものになってしまうこともある。

 クリスティーンさんは食材や調味料などを使用する順番に並べておき、使用すると元に戻すようにしていると言われていたが、このような準備作業を思いつかない人の方が多い。だから、個念の行為の「つなぎ役」を買って出る人が必要になる。

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