2017/08/06

胃酸で胃だけが溶けない理由

食の楽しみは、人生の楽しみの一つといってもいいだろう。カラッと揚がった天ぷら、新鮮なネタの寿司、肉汁したたるステーキ、アッァッの石焼ビビンバ、ふわっと甘いショートケーキなどなど、おいしいものを食べると幸せな気持ちになってくる。
 
考えてみると、人は、毎日、毎食、いろいろなものを口に運んでいる。その食べ物が口から食道を経由して最初に向かうのは胃腸である。胃ではおもに一一一種類の分泌物を出して、たんぱく質を分解している。
 
その三つとは、ペプシノーゲン、胃酸、粘液だ。
 多少そしゃく不十分で飲み込んでしまった食物だって、胃の中にやってくれば、これらの分泌物によって強力に溶かされる。


 
それだけではない。胃腸は嬬動運動をおこなっているため、内容物(食物)と分泌物を混ぜ合わせて消化する,‐)くみになっている。ちょうど、ミキサーが撹枠するのに近いのだろう。その結果、食物はみごとに分解されるわけだ。
 
だが、ここで疑問がわいてくる。そんなに強力にたんぱく質を分解してしまうのなら、分泌物が胃腸を溶かしてしまわないものか、と。

 
ことに胃酸は強い酸性をおびているため、間違って皮層についたら火傷をするほどだ。
そんな強い分泌物に長時間さらされている胃がダメージを受けないなんて、ちょっと信じられない。 それはなぜかというと、先ほどの分泌物の一つである粘液が、胃を保護するための働きをしてくれるからだ。粘液が、胃の内側の粘膜をおおって、皮膜というバリアを張るのだ。
要するに、ペプシノーゲンと胃酸は、食物を消化するために分泌され、粘液は胃粘膜をガードするために分泌されているのである。
 
加えて、胃の粘膜というのは細胞分裂が活発で、常に新しい細胞になっていることも見逃せない。そのため、万が一、強力な分泌物が胃の粘膜を傷つけてしまったとしても、すぐに新しい細胞ができて修復されるしくみになっている。
 
しかし、お酒の飲みすぎなどで、せっかくの粘液のバリアがとれてしまうこともある。

すると、その部分の粘膜が胃酸などで荒らされ、細胞の修復が間に合わなくなり、粘膜の層に穴が開いてしまうことがある。これが胃潰傷だ。胃潰傷で苦しまないためにも、お酒の飲みすぎには、くれぐれも注意したいものだ。
スポンサーサイト