2014/08/07

かぜと間違いやすい病気 高齢者の肺炎

■なぜ肺炎にかかりやすい?

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 年をとると、免疫力が低下するなどの理由で、かぜ、インフルエンザ、肺炎などにかかりやすくなります。肺炎を起こす細菌は、肺炎球菌、大腸菌、緑膿菌、嫌気性菌などです。お年寄りの場合、口の中の酸性度が変わったり、唾液の分泌が減ったりするために、これらの細菌が口の中に増える傾向がみられます。
 また、年をとると、かむ力や飲み込む力が弱くなったり、神経や筋肉などの働きが低下するため、食べ物や唾液が誤って気管に入る「誤えん」が起こりやすくなります。そのため、お年寄りには、口の中の細菌が、気管から肺に入り込んで炎症を起こす「誤えん性肺炎」が多くみられます。
 お年寄りの場合、肺炎になっても、高熱や激しいせきなどの目立った症状が現れにくいので、重症化しても気づかないこともあります。一般に、誤えん性肺炎が起こると、早めに受診しましょう。



■予防のポイント

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 日常生活では、誤えん性肺炎の原因となる誤えんを防ぐ工夫が必要です。ベッドで食事をする場合は、姿勢に気をつけましょう。また、睡眠時も上半身をやや高めにし、唾液の誤えんや胃からの逆流を防ぎましょう。食べものでは、一般に、柔らかく煮たもの、とろみのあるもの、ゼリー状のものなどは誤えんしにくいので、飲み込む能力に応じて調理法を工夫してください。また、口の中の細菌を減らすため、食後や就寝前に歯磨きやうがいをして、口の中を清潔に保つことも大切です。
2014/08/01

御用心!しつこいせき、たん 気道感染症

「気道感染症」は、のどや気管、気管支、肺などの「気道」にウイルスや細菌が感染して起こり、せきやたん、鼻水といった症状が現れます。「かぜ」と軽く考えがちですが、こじらせると、肺炎などが起こるので、注意が必要です。
 



■気道感染症とは

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「気道感染症」とは、空気の通り道である気道にウイルスや細菌などが感染して、炎症が起きる病気です。鼻腔から喉頭までの「上気道」に感染が起こると、「くしゃみや鼻水、のどの痛み」などが起こります。喉頭より下の気管、気管支などの「下気道」に感染が広がると「たんやせき」が出るようになり、ひどくなると、気管支炎や肺炎が起こります。
 気道感染症の8〜9割はウイルス感染が原因で、これがいわゆる「かぜ」です。残りの1〜2割が細菌感染によるものです。今回は、細菌性の気道感染症を取り上げます。




■症状の特徴

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細菌には「肺炎球菌、インフルエンザ菌」などの一般細菌と、「マイコプラズマ、クラミジア」などの特殊細菌があります。
 一般細菌が原因で起こる気道感染症は、急に発熱して症状が重くなる特徴があります。膿性のたんを伴う湿ったせきが起こり、いわゆる「かぜをこじらせた状態」になります。中耳炎や副鼻腔炎、肺炎などを起こすこともあります。一般細菌への感染は、多くの場合、ウイルス感染の後に起こる「二次感染」によって起こります。
 一方、特殊細菌が原因で起こる気道感染症は、一般細菌が原因で起こる場合に比べ、症状は軽いことが多く、高熱になることはほとんどありません。しかし、じわじわと症状が進行するため、「体がだるい、のどが痛い、夜になるとせきがひどくなる、乾いたせきがなかなか治まらない」などの特徴があります。特殊細菌への感染は、「一次感染」によるものが多くなります。
 ウイルス感染による気道感染症の場合、症状は通常4〜5日、長くても10日ほどで治まります。これは、体内で抗体がつくられ、ウイルスを排除するためです。これに対して、せきやたんなどの症状が10日以上続く場合は、細菌による気道感染症が強く疑われます。




■治療

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細菌性の気道感染症は、抗菌薬による治療が中心になります。原因菌により、効果のある薬は異なりますが、原因菌を特定するには時間がかかるため、実際には、症状などから疑わしい菌を推測して処方薬を決めます。場合により、たんなどを採取し、原因菌を特定する検査を行うこともあります。 一般細菌が原因の場合は、細菌の細胞壁の合成を阻害する「セフェム系」や「ペニシリン系」の抗菌薬を使用します。どちらも副作用が少なく、広く使われています。細菌の細胞内のDNAやRNAの合成を阻害する「ニューキノロン系」の抗菌薬は、一般細菌、特殊細菌を問わず使用されます。また、細胞がたんぱく質を合成するのを阻害する「マクロライド系」や「テトラサイクリン系」の抗菌薬は、特殊細菌や、一部の一般細菌に使用されます。
 通常、セフェム系、ペニシリン系の抗菌薬は約4〜7日間、ニューキノロン系、マクロライド系、テトラサイクリン系の抗菌薬は約2週間服用します。抗菌薬を服用し始めると、3〜4日で症状が緩和されるため、薬の服用をやめる患者さんが多くいますが、特に、特殊細菌の感染症では、そこで服用をやめると、半分以上の人が再発します。1週間の服用でやめても、約3割は再発します。抗菌薬の服用期間に関しては、必ず医師の指示に従いましょう。

2014/07/25

「介護とリハビリテーション」 嚥下障害

体のマヒ、言語障害、嚥下障害などの後遺症が残ることが多い 脳卒中。どのようなリハビリテーションをすればいいのか、また、家族はどんな形で介護をしたらいいのか.


脳こうそくになり、数年後また再発した。1ヶ月ほどで退院したが、嚥下障害(えんげしょうがい)が残り、特に水分がうまく飲み込めない。上手に飲み込むためにはどうしたらいいか?






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頭を後ろに反らして飲むと、飲みやすくなる

「食べられない」「飲み込めない」ということは人間の本能を冒されるということで、人生がとてもつまらなくなってしまいます。また、まったく食べられなくなってしまったら生命を維持することも難しいということで、摂食嚥下障害はリハビリテーション医療の中で非常に大きなテーマになっており、現在、いろいろな治療が進んでいます。
でははじめに、ものを飲み込むという機能についてご説明していきましょう。

口でそしゃくして、飲み込みやすい固まりにしていくんですね。そして今度は咽頭に入ります。相談者はおそらく、咽頭から食道に入る段階で問題を起こしているのではないでしょうか。
食道のほうへ食べ物を移すとき、口頭蓋(こうとうがい)という突起がバタンと降りることで、気道に入ることなく食道へきちんと移すことができるんですが、相談者はこの反射がうまく協調していないのではないかと思われます。
固形物は比較的するすると入るけれど、水分は気道のほうに入ってしまう。ただ「むせる」という反射があるということですから、肺の中に入って誤嚥性の肺炎になってしまうという心配は、比較的少ないと思います。
嚥下の動きは、姿勢や運動療法などでスムーズにすることができます。飲み物を飲むときは頭の後ろに枕などをおき、あごを引いて、30〜60度くらいの角度になるよう頭を後ろに反らしてください。つまり、下を向いて飲むような形になりますね。こうして飲むと、比較的入りやすくなります。飲みにくいという方は、こうして飲むためのコップも作られていますから、お試しになってみてください。その他、様々な方法が考えられていますが、口腔の中のいろいろな器官の筋肉を強めたり、首の周りの筋肉の動きをよくする運動療法もあります。






ものを飲み込むときは首の周り、それから口の中の動きがとても大切なので、外からの運動で少しずつそれを正常に戻していくようにします。
まず一番大切なのは首の運動です。首を前に曲げる。それから後ろにぐっと伸ばす。横に曲げる。反対の方向にも曲げてください。そして、顔をねじります。これも左右両方向に。
このような運動をしていただくと首の周りの筋肉がリラックスして、ある程度飲み込みの準備の体勢がとれます。それと舌の動きや口の中の動きも大切ですので、舌を前に突き出すような格好で出したり、引っ込めたりするような運動をしてみてください。
唇の脇を右と左に動かす運動も効果的です。舌を出して右と左に動かす。頬をふくらませたり、元に戻したりという動作もしてみましょう。それから、あごが動くときによく使う筋肉を鍛えます。できる範囲で結構ですから、あごを左右に動かしてください。次は息を「フーッ」とゆっくり吹き込みます。
唇の動きも大切です。「うー」と言うと唇が尖り、「いー」と言うと唇が横に広がります。また、「け」という音を出すと、飲み込むときに軟口蓋を少し上げることができます。
最後に、食べ物がない状態で飲み込む練習を。食べ物がなく、空気だけを飲み込むことを「空気嚥下」と言うんですが、これをやるとのど仏のところが動くんですね。嚥下のときには動くということが一番大切なので、ぜひこの空気嚥下の練習をしてみてください。
これらの運動は食べる前だけにやるということではなく、普段、時間があるときにやっていただくといいでしょう。


2014/06/23

耳 鼻 のどの病気/声帯マヒ

40代の頃から声がかすれ、声を出すのが苦しくなった。33年前に声帯ポリープの治療をしてそれらの症状はなくなったが、その後、声が出にくくなった。耳鼻科では「声帯の片側がマヒしている」と言われたが、原因は? どうすれば治るのか?


 
Answer

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声帯の動きが悪いということですが、声帯というのはのどの上のほうにある器官なんですね。扇のような形をしていて、それが神経によって閉じたり開いたりします。
声帯を動かす神経はどのようになっているかというと、脳から直接声帯に行くのではなく、一度胸まで行って、それから戻ってきているんです。経路が非常に長いものですから、いろいろな病気でマヒが起こります。
たとえば胸の病気や甲状腺の病気、食道の病気などでもマヒが起こることがあるんですが、一番多いのはかぜなどの後でウイルスが神経についてマヒが起こることなんですね。
ご相談者は点滴でビタミンの大量投与をされたということですが、実際にこのような治療で自然に回復することが多いですし、あとは残っている反対側の声帯でマヒした部分の声帯を代償していく形で回復していくことが多いんです。
しかし、だいたい半年から1年経ちますと、補うにも限度が出てくるんですね。
そのために、疲れたときや何かちょっとしたことで補いきれずに声帯に隙間ができて、声がかすれているのではないかと思います。
反対側の声帯が頑張ってマヒした声帯を補っているということで、かなりギリギリの状態になっておりますので、ちょっとしたことでトラブルが起こりやすいということに加え、年齢的な問題もあると思います。年をとると徐々にやせてくることが多いんですね。そういったことも含め、声のかれがひどくなってきているのではないかと思います。
 声帯は扇の要状をしている器官で、神経によって閉じたり開いたりしている
声帯の閉じを補うようにする治療法もある

では、治療法について詳しくご説明していきましょう。写真1をご覧ください。
これは声帯増量術の手術前と手術後の声帯の映像です。声帯増量術は、マヒした声帯の粘膜の下にコラーゲンを注入して、声帯を少しふくらませ、少しでも声帯の閉じを補うようにする治療法です。
程度がひどい方の場合は、首を切って手術的に声帯を内側にずらしてしまうという方法をとることもあります。どのような方法をとるかは、診察させていただいて、声帯の動きや隙間の程度を見ないと何とも言えません。
声帯増量術はテクニック的にはかなり難しいのですが、患者さんの負担は非常に少なく、我々は外来でも行っています。ご相談者は現在79歳ということですが、大きな合併症や心臓などに問題がなければ、ご高齢者でも治療を受けることは十分に可能だと思います。耳鼻科の中でも、特に音声を専門にやっていらっしゃる先生にご相談されたらよろしいのではないでしょうか。
この治療を受けられると声のもれが少なくなって、声が出しやすくなります。今まで長く話すと息つぎが多くなって苦しかったのが、ひと息で長く話せるようになって楽になってくると思います。それから、声の質も良くなってくるでしょう。
ご相談者は「お腹に力を入れないと話しにくい」ということですが、息むときは胸腔内圧を上げていろいろな力を出せるようにするわけですが、そのときは自然の反射で声帯を強く閉めるようにするんですね。声帯の閉じが悪い方はどうしても息む動作と同じようなことをして、少しでも声帯を閉じようとしますので、お腹に力が入ってしまうのだと思います。
今後のことですが、手術的に治療がある以外に、声帯というのは慢性の炎症などに影響を受けやすいので、日常生活ではのどを十分にいたわっていただきたいと思います
2014/06/21

気になるのどの調子/のみこみにくい

飲み込みにくい、むせるなどは誰もが経験することです。しかし、これがいつまでも続くとなると要注意。のどに病気があることが考えられるので放置してはいけません。


■「飲み込む」プロセスと嚥下障害

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 飲食物は口、のど、食道を通過して胃に入りますが、そのどこかに障害があると、「痛む」「むせる」「つかえる」などの症状が出て飲み込みにくくなります。
 まず、口からのどにかけての間に、口内炎があったり、扁桃に腫れがあったり、舌の神経や筋肉が麻痺していたりすると、食べ物をのどに送りにくくなります。また、のどは食道と気管に分岐するポイントですが、空気と食べたものの交通整理に携わる神経や筋肉が麻痺すると、「むせる」症状が起き、食べ物がうまく運ばれません。さらに、のどに腫瘍などができると、通り道が狭くなって食べ物がつかえまし、食べ物を胃に送る食道の途中に腫瘍などができても、食べ物が引っかかってつかえます。また、食道に炎症が起きると、食べたり飲んだりしたときに「しみる」ようになります。



■症状と原因

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 飲食時に痛みを感じたり、ひどくなると、「痛くて飲み込めなくなる」場合は、主に「口内炎や歯の異常」や「扁桃炎や急性喉頭蓋炎」が原因です。
 「むせる」のは、気管に異物が入るのを防ぐ体の防御反応ですが、お年寄りでは、老化による筋肉や神経の衰えにより、飲み込むタイミングがずれてむせることがあります。また、声帯を動かす神経の麻痺や、脳血管障害による嚥下中枢の障害などが原因でむせることもあります。
 食べ物が「つかえる」原因には、のどや食道に腫瘍がある場合や、食道に異物が詰まっている場合などが考えられます。



■検査と治療

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 まず問診で、患者さんから症状などを詳しく聞いたあと、食道を調べる「食道造影検査」、咽喉頭を調べる「内視鏡検査」、がんなど悪性腫瘍の有無を調べる「CT(コンピュータ断層撮影)」や「MRI(磁気共鳴画像)」などの画像診断を行います。
 治療では、まず、原因となる病気を治療し、その後、普通に食事をとれる状態に戻すために、飲み込む練習を行ったり、生活の中で飲み込みやすくする工夫をしていきます。



■飲み込みやすくする工夫

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 飲み込みにくい人は、食べ物や食べ方に工夫することが大切です。
 食べ物では、とろみのある食べ物がお勧めです。逆に、水っぽい食べ物や、液体に固形物が混ざっているようなものは、注意が必要です。また、かみ砕きやすく、適度に水分を含んでいる食べ物だと、スムーズに飲み込めます。食べるときは、体をまっすぐにしたほうが、食べたものが重力にしたがって落ちていき、飲み込みやすくなります。ただし、首は少しうつむき加減にしましょう。
 食事のときは、「ゆっくり、少しずつ食べる」「液体と食べ物を交互にとる」「一口食べたら、何度も飲み込む」といった点を心がけてください。
 また、これらの工夫だけでは不十分な場合には、声帯を閉じやすくしたり、食道と気道を分離する手術が行われることもあります。これらの手術後は、飲食の仕方をマスターするためのリハビリが必要になります。

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