2017/08/22

もの忘れ

人間、年をとるともの忘れが激しくなり、会話の中でも「アレ」とか「ソレ」という言葉が多くなる。自分がやろうとしたことを忘れてしまったり、テレビに出ているタレントの名前などが思い出せなくなり、もどかしい思いをするなど、加齢というのはせつないものである。

 
でも、よくよく考えてみれば、肉体だって加齢とともに衰えるのだから、脳ばかりを恨んでもしかたがない。
 

そこで、こんな疑問がわいてくる。
「ふつう、歳をとると筋肉が落ちて体力が衰えてしまう。それと同じように、脳も年をとると縮んで小さくなってしまうのだろうか?」
 
結論からいうと、悲しいかな、加齢などによって脳は本当に縮んでしまうらしい。
 
なぜなら、脳の神経細胞というのは、一一○歳をすぎると、一日一○万個から二○万個ずつ減っていくからだ。この調子でコンスタントに減りつづけると膨大な数になる。とくに六○歳をすぎると急激に減ってしまうといわれている。
 
そのぶん、脳というのは発育も早いようである。生まれたばかりの赤ん坊でも、すでに神経細胞がほぼ完成しており、重さも四○○グラムあるというのだ。四~五歳児になると、なんと一一一○○グラムにもなり、成人の重さとほとんど変わらなくなる。そして、二○歳ごろがピークで一三五○グラムに達し、それ以降は、しだいに減少していくというわけだ。
 

また、加齢以外にも、脳が縮んでしまうことがある。脳の病的萎縮だ。パーキンソン病やアルッハイマーなどがそれで、年齢と関係なく脳の神経細胞が減少してしまうらしい。
 
だからといって、悲観的になってばかりもいられない。単なる加齢の場合なら、本人の努力しだいで、多少、脳の老化を食い止めることもできる。巷で、脳を鍛えるゲームソフトの類が大流行しているのも、そういった危機感の現れなのだろうか。
 

しかし、ハイテクに頼らなくても、脳を鍛える方法がある。手を動かすことだ。手を動かすと、脳のさまざまな部分が連続して働くようになる。昔ながらのお手玉や折り紙などは、遊びながら効果的に脳を活性化させる方法だ。
 
暇でボーッとしているときに、手を動かすように努めれば、少しは脳の老化に歯止めがかかるかもしれない。
2017/08/10

お酒が強い人は肝臓も丈夫l本当だろうか?

結論からいってしまうと、その答えは正しくはない。お酒が強いというのは、肝臓の酒分解能力が高いだけのことなのである。肝臓には、何百もの酵素が存在している。つまりお酒が強い人は、その中のアルコールを分解する酵素の働きが優れているだけのことであ
り、ほかの酵素の働きも優れているとはかぎらないのである。
 
その酵素には、アルコール脱水素酵素とメオスと呼ばれる二つの酵素がある。アルコール脱水素酵素は肝臓でアルコールを分解するうえで八○%の働きを占めるわけだが、これは先天的に備わっているため、そう簡単には分解能力を高めていくことができない。これ
に対し、二○%の働きを占めるメオスのほうは、お酒を飲む習慣がつくと、その能力も高まっていく。「昔はお酒がからきし弱かったのに、つきあいで飲みつづけていくうちに、いつの間にか強くなった」という話を耳にすることがあるが、これはまさにこのメオスの働きによるものなのだ。
 
そして、この二つの酵素の働きによって、アルコールはまずアセトアルデヒドと呼ばれる物質に分解され、さらにそれが酢酸になり、最終的には水と一一酸化炭素にまで分解されるわけだが、問題なのはアセトアルデヒドが人体にとって有害な物質であるということ。
要するに、ちょっとお酒を飲んだだけで頭痛や吐き気がするという人は、アセトアルデヒドを酢酸にする働きが弱いのだ。
 
しかし、アセトアルデヒドを酢酸にする働きが強いからといって油断はできない・毎晩のように大量のお酒を飲みつづけていると、それに比例して大量のアセトアルデヒドがつくられ、それを解毒するために、肝臓は懸命になって働くようになる。すると、肝臓だって過労でダウンし、アルコール性肝脂肪からアルコール性肝炎、ついには肝硬変になりかねない。
2017/08/06

胃酸で胃だけが溶けない理由

食の楽しみは、人生の楽しみの一つといってもいいだろう。カラッと揚がった天ぷら、新鮮なネタの寿司、肉汁したたるステーキ、アッァッの石焼ビビンバ、ふわっと甘いショートケーキなどなど、おいしいものを食べると幸せな気持ちになってくる。
 
考えてみると、人は、毎日、毎食、いろいろなものを口に運んでいる。その食べ物が口から食道を経由して最初に向かうのは胃腸である。胃ではおもに一一一種類の分泌物を出して、たんぱく質を分解している。
 
その三つとは、ペプシノーゲン、胃酸、粘液だ。
 多少そしゃく不十分で飲み込んでしまった食物だって、胃の中にやってくれば、これらの分泌物によって強力に溶かされる。


 
それだけではない。胃腸は嬬動運動をおこなっているため、内容物(食物)と分泌物を混ぜ合わせて消化する,‐)くみになっている。ちょうど、ミキサーが撹枠するのに近いのだろう。その結果、食物はみごとに分解されるわけだ。
 
だが、ここで疑問がわいてくる。そんなに強力にたんぱく質を分解してしまうのなら、分泌物が胃腸を溶かしてしまわないものか、と。

 
ことに胃酸は強い酸性をおびているため、間違って皮層についたら火傷をするほどだ。
そんな強い分泌物に長時間さらされている胃がダメージを受けないなんて、ちょっと信じられない。 それはなぜかというと、先ほどの分泌物の一つである粘液が、胃を保護するための働きをしてくれるからだ。粘液が、胃の内側の粘膜をおおって、皮膜というバリアを張るのだ。
要するに、ペプシノーゲンと胃酸は、食物を消化するために分泌され、粘液は胃粘膜をガードするために分泌されているのである。
 
加えて、胃の粘膜というのは細胞分裂が活発で、常に新しい細胞になっていることも見逃せない。そのため、万が一、強力な分泌物が胃の粘膜を傷つけてしまったとしても、すぐに新しい細胞ができて修復されるしくみになっている。
 
しかし、お酒の飲みすぎなどで、せっかくの粘液のバリアがとれてしまうこともある。

すると、その部分の粘膜が胃酸などで荒らされ、細胞の修復が間に合わなくなり、粘膜の層に穴が開いてしまうことがある。これが胃潰傷だ。胃潰傷で苦しまないためにも、お酒の飲みすぎには、くれぐれも注意したいものだ。